箏について  (About Koto)


箏(こと)は中国秦の時代に作られたといわれ、はじめは5弦でした。その後弦の数が増えていき 13弦の形で伝わったのは日本でいう奈良時代でした。 奈良時代、平安時代には雅楽の中で使われました。室町時代に筑紫流が生まれ、江戸時代に八橋検校が出てきて以来 箏曲が一気に普及しました。ここで生田流、山田流が主に確立されました。今現在「こと」と呼ばれるのは大きく分けてこの2つの流派をさすことが多いです。

私は生田流ですが、流派によって使う爪が異なります。生田流では角爪、山田流では丸爪を用います。 右手の親指、人差し指、中指に爪をつけて演奏するのは共通することですが、生田流は楽器に対し斜めに座って演奏し、山田流は楽器に対してまっすぐに座って演奏します。
 
一般的に「こと」の漢字を使う際にいつも混乱されがちなのですが、各弦に可動式の柱をたてて調弦をとる方を箏、柱のないものを琴と呼びます。私が演奏しているのは箏の字を使います。 1本の弦で基本1つの音しかでませんが、左手が押すことで半音、一音など音の高さを作ることができます。八橋検校が考案されたとされる平調子(ひらじょうし)をはじめ、雲井調子、半雲井調子など様々な調弦がうまれましたが、柱を動かして音が変えられるため、現代箏曲に至るまでに実に沢山の調弦があります。13絃箏の他には17絃箏、20絃箏、25絃箏などが開発され、多くの曲が生まれています。
 
楽器全体は龍に例えられ、龍頭(演奏する側)、龍角、龍尾(糸がぐるぐると巻いてある方)など名がついています。また、八橋検校の名前から生まれたお菓子として 京都の八ツ橋は箏の形をかたどっていると言われます。